家族を支える知恵袋

家族のメンタル不調を支える専門職:精神保健福祉士、公認心理師などの役割と活用

Tags: メンタルヘルス, 家族ケア, 専門職, 精神保健福祉士, 公認心理師, 相談

家族のメンタル不調ケアにおける専門職の役割と活用方法

ご家族のメンタル不調と長年向き合っておられる皆様は、日々のケアや将来への不安、経済的な問題など、様々な困難に直面されていることと思います。一人で全てを抱え込むには限界があり、外部のサポートをいかに活用するかが、状況を打開し、ご自身の負担を軽減するための重要な鍵となります。

公的な相談窓口や医療機関に加え、メンタルヘルス分野には様々な専門家が存在します。特に、精神保健福祉士や公認心理師といった専門職は、ご本人だけでなく、ご家族へのサポートも重要な役割として担っています。この記事では、これらの専門職がどのようなサポートを提供してくれるのか、そしてどのように活用すれば良いのかを具体的に解説します。

精神保健福祉士(PSW)の役割と活用

精神保健福祉士(Psychiatric Social Worker, PSW)は、精神科ソーシャルワーカーとも呼ばれ、精神疾患を抱える方やそのご家族が抱える生活上の様々な困りごとに対し、社会福祉の視点から専門的な支援を行う国家資格を持つ専門職です。

精神保健福祉士の具体的なサポート内容

精神保健福祉士は、以下のような幅広いサポートを提供します。

どのような困りごとに相談できるか

「お金に関する手続きが複雑で分からない」「利用できる福祉サービスを知りたい」「本人がなかなか外に出ようとしないが、どのように促したら良いか」「他の家族に相談しても理解してもらえない」「自分の疲れが溜まっている」など、日常生活や制度利用、家族間のコミュニケーション、ご自身のケアに関する幅広い困りごとについて相談することができます。

どこで精神保健福祉士に相談できるか

精神科病院やクリニック、保健所や精神保健福祉センター、相談支援事業所、市区町村の障害福祉窓口などに配置されています。医療機関にかかっている場合は、まず主治医や病院の相談室(地域医療連携室など)に問い合わせてみるのが良いでしょう。

公認心理師・臨床心理士の役割と活用

公認心理師は心理職初の国家資格であり、臨床心理士は心理分野の民間資格として広く認知されています。両者は重なる部分も多いですが、心理学の専門家として、心の問題に対するアセスメントやカウンセリングなどを通してサポートを行います。

公認心理師・臨床心理士の具体的なサポート内容

公認心理師や臨床心理士は、主に以下のような心理的な側面からのサポートを提供します。

どのような困りごとに相談できるか

「本人の気持ちが理解できない」「どう接したら良いのか分からない」「本人とのコミュニケーションがうまくいかない」「家族自身の気持ちが辛い、疲れてしまった」「今後のケアについて不安が大きい」「自分の悩みや感情を整理したい」など、ご本人やご家族自身の心の状態、感情、コミュニケーションに関する困りごとについて相談することができます。

どこで公認心理師・臨床心理士に相談できるか

精神科病院やクリニック、カウンセリングルーム、精神保健福祉センター、一部の保健所、大学の相談室、企業のEAP(従業員支援プログラム)など、様々な場所で活動しています。医療機関にかかっている場合は、主治医に相談して院内の心理士を紹介してもらうことも可能です。

その他の関連専門職

上記以外にも、家族のメンタル不調ケアに関わる専門職は複数います。

これらの専門職も、チームの一員としてご本人やご家族を支えています。

専門職への相談・活用のポイント

まとめ

ご家族のメンタル不調との向き合いは、長期にわたるマラソンのようなものです。その道のりを一人で走り続けるのではなく、精神保健福祉士や公認心理師をはじめとする様々な専門職は、力強い伴走者となってくれます。

それぞれの専門職は異なる知識や技術を持っており、提供できるサポートも異なります。ご自身の、あるいはご家族の現在の困りごとに合わせて、適切な専門職に相談し、その知識やサービスを上手に活用することで、状況を改善したり、ご自身の負担を軽減したりすることが可能になります。

専門職への相談は、決して特別なことではありません。抱え込まずに助けを求めることは、ご家族のためでもあり、そして何よりご自身の心身を守るために非常に大切な行動です。ぜひ積極的に専門職への相談を検討してみてください。