家族のメンタル不調ケアで孤立を感じたら:家族会・自助グループを探す・参加する具体的なヒント
家族のメンタル不調に寄り添い、サポートを続けることは、長期にわたる道のりとなることが少なくありません。その過程で、誰にも相談できない、同じような経験を持つ人が周りにいないと感じ、孤立感を深めてしまう方は多くいらっしゃいます。責任感が強い方ほど、一人で抱え込んでしまいがちです。
このような状況において、家族会や自助グループは、ケアを担う方々にとって大きな支えとなり得る存在です。この記事では、家族会・自助グループがどのような場所であり、なぜ参加することが有効なのか、そしてどのように探し、参加すれば良いのかについて、具体的なヒントをお伝えします。
家族会・自助グループとは
家族会や自助グループとは、精神疾患やその他のメンタルヘルス上の問題を抱える方の家族や支援者が集まり、経験や情報を共有し、互いに支え合う非営利のグループです。多くの場合、同じような困難や課題を経験している人々が集まるため、深い共感や理解が得られやすいという特徴があります。専門家が運営に関わる場合もあれば、家族同士が主体的に運営している場合もあります。
家族会に参加することのメリット
家族会や自助グループに参加することで得られるメリットは多岐にわたります。
- 孤立感の解消と共感の獲得: 同じ立場の参加者と話すことで、「自分だけではない」と感じられ、孤立感が和らぎます。言葉にできないような悩みや感情も、経験者には理解されやすいものです。
- 実践的な情報の入手: 医療機関の情報、福祉サービス、活用できる制度、本人への具体的な関わり方など、体験に基づいた生きた情報を得ることができます。書籍やインターネットだけでは得られない、リアルな声や具体的なヒントが見つかることがあります。
- 心理的な負担の軽減: 抱え込んでいる悩みや不安を話すことで、心が軽くなることがあります。また、他の参加者が困難を乗り越えた経験談を聞くことで、希望を持つことができる場合もあります。
- 新たな視点の獲得: 本人への関わり方や自身の状況について、他の参加者の経験や考え方に触れることで、新しい視点や解決策に気づくことがあります。
- 専門家との接点: 家族会によっては、精神保健福祉士や公認心理師などの専門家が関わっている場合があり、適切な情報やアドバイスを得る機会となることがあります。
- 自身のケアへの気づき: 家族のケアに追われる中で忘れがちな、自身の心身の健康や休息の重要性について再認識し、具体的なセルフケアのヒントを得る場ともなります。
家族会・自助グループの探し方
家族会や自助グループは様々な形で存在しています。探す際の一般的な方法をいくつかご紹介します。
- 自治体や地域の精神保健福祉センター: まず、お住まいの市区町村の障害福祉課や保健所、精神保健福祉センターに問い合わせてみることが有効です。地域にある家族会や自助グループの情報を提供してもらえることがあります。
- 医療機関: 本人や家族が受診している病院やクリニックの相談室(医療ソーシャルワーカーなど)に相談してみてください。病院が主催・連携している家族会や、関連団体の情報を持っている場合があります。
- 特定の疾患の患者会・家族会: 統合失調症、うつ病、双極性障害など、特定の精神疾患に関する全国規模や地域の患者会・家族会があります。インターネットで「[疾患名] 家族会」などのキーワードで検索すると見つかることがあります。
- NPOや公益法人: 精神保健福祉に関わるNPOや公益法人が家族会を運営している場合があります。これらの団体のウェブサイトなどで情報を探すことができます。
- インターネット検索: 「地域名 家族会 精神疾患」「精神障がい者 家族会」といったキーワードで検索すると、様々な情報が見つかります。ただし、情報の信頼性を確認しながら利用することが重要です。
- オンラインコミュニティ: 直接集まる家族会だけでなく、インターネット上の掲示板やSNSグループなどで情報交換や交流が行われているオンラインコミュニティもあります。地理的な制約がないため参加しやすいという利点があります。
家族会を選ぶ・参加する際のヒント
複数の家族会が存在する場合、どの会を選ぶか迷うかもしれません。また、初めて参加する際には不安を感じることもあるでしょう。
- 複数の会を試してみる: 家族会によって雰囲気や運営方針は異なります。可能であれば、いくつかの会に体験参加してみて、ご自身に合う雰囲気やスタンスの会を選ぶことをお勧めします。
- 運営方法や雰囲気をみる: 参加者の発言の機会が均等にあるか、特定の意見に偏りすぎていないか、プライバシーへの配慮があるかなどを観察します。参加者の様子や会の進め方を見て、安心して話せる場所か判断します。
- 自身の期待とすり合わせる: 情報収集が主な目的なのか、共感を求めるのか、具体的な問題解決のヒントが欲しいのかなど、ご自身が家族会に何を求めているのかを明確にすると、会選びの参考になります。
- 無理のない範囲で参加する: 参加頻度や関わり方は、ご自身の状況に合わせて無理のない範囲で決めましょう。最初から全てを話す必要はありません。まずは他の人の話を聞くだけでも学びはあります。
- 個人情報の取り扱いに注意する: 安心して話せる場である一方で、個人的な情報や家族の状況について、話す内容や範囲はご自身で判断し、慎重になることも大切です。
家族会以外のサポート
家族会以外にも、相談できる場所や活用できるサービスは存在します。精神保健福祉センター、保健所、医療機関の相談室、地域の相談支援事業所、民間のカウンセリングなど、様々な窓口があります。家族会と合わせて、これらのリソースも活用することで、より多角的なサポートを得ることが可能になります。
まとめ
家族のメンタル不調を支えることは、時に孤独を感じる作業です。しかし、同じような経験を持つ人々と繋がる家族会や自助グループは、孤立を防ぎ、困難を乗り越えるための新たな視点や具体的なヒントを与えてくれる貴重な場となり得ます。
完璧な家族会や自助グループは存在しないかもしれませんが、ご自身のペースで探求し、参加してみることで、想像以上の支えや学びが得られる可能性があります。一人で抱え込まず、利用できる社会資源の一つとして、家族会・自助グループに目を向けてみてはいかがでしょうか。それは、ご自身の心身の健康を守り、長期的なケアを続けるための力に繋がるはずです。